星撮り日記

DeNoiseAIは天体写真の救世主か?

2020/02/16
画像処理 2
天体写真 画像処理 DeNoiseAI
こんにちは。nabeです。
最近界隈を賑わせている「DeNoiseAI」というソフト、皆さんはもうお試しになりましたか?

Re_コメント 2020-02-16 151014
https://topazlabs.com/denoise-ai/

なにやらノイズリダクションのアルゴリズムにAIの技術を投入して、被写体のディテールを削がず、不自然さを感じさせずに強力なノイズリダクションを実現する・・・的な、ぶっちゃけちょっと眉唾もののソフトです。

しかしまあ、トライアルライセンスで30日間は全機能を無料で試せるということですので、早速インストールして使ってみることにしました。
コメント 2020-02-16 152152

起動するとこのような画面が開きます。初回はチュートリアル(英語)が表示されます。基本的に英語のソフトではありますが、非常にシンプルなGUIなのですぐに扱えると思います。


そして早速お手並み拝見。
AIの実力や如何に。

Re_EQVWIgeUcAEuDHK.jpg

や・・・やるじゃないの・・・!

Re_コメント 2020-02-16 080007

露出不足で暗部がガサガサになってしまった画像に対しては特に効果てきめんです。大げさかもしれませんが、倍の露出時間をかけたレベルの滑らかさかもしれません。

シャープ効果もかけられるので、ノイズが減ったことと相まって一回り大きな口径の望遠鏡で撮影したような解像感さえ感じられます。

コメント 2020-02-16 153429
CameraRAWのノイズリダクションで、背景を同じくらいなめらかにしようとしてみましたが、変なパターンノイズが浮いてきてしまって、肝心の星雲のディテールも潰れてしまいました。

DeNoiseAIのほうが星雲や恒星のディテールの破壊を最小限に抑えつつ、ザラザラしたノイズを強力に排除してくれますね。



Re_コメント 2020-02-16 080148

ノイズリダクションのモデルには「DeNoise AI」と「AI Clear」の2つがあります。何回か使ってみた感触としては、天体写真には特に後者の「AI Clear」のモデルが効きやすいと感じています。

DeNoise AIモデルにはディテールを描いてしまう(Photoshopの修復ブラシ的な)挙動があるので、天体の分子雲や銀河の腕がおかしな事になってしまうことがありました。

ただ、写真やノイズの質感によってはDeNoiseAIモデルのほうが自然にきれいに仕上がることもあります。こればっかりはケースバイケースで、自分の写真にあった設定をその都度探ってみてください。幸いなことに、設定自体は多くなく、直感的に操作可能なのでそこまで難しいことではないでしょう。

Re_M31-BKP130-ps-denoise.jpg

DeNoiseAIでノイズリダクションをかけた後にもう一度強調処理をしてみました。背景宇宙のノイズがほぼ完璧に消えているので、ゴリゴリに彩度を上げてもノイズが目立ってくることがありません。

今まで諦めていた分子雲や星雲の炙り出しへの耐性が大きく上がります。
天体写真の限界突破が可能になるということを示唆していると思います。

何十時間も露光しなくても簡単にノイズの少ない画像を得ることができるようになるので、初心者の方にはとてつもない朗報だと思います。

逆に、ベテランの皆様には悲報かもしれません(笑)StarNet++やDeNoiseAIといった、機械学習アルゴリズムを活用した天体写真処理で簡単に写真のクオリティが上がることで、画像処理の上手い下手の差が大きく縮まることになるかもしれません。

全く恐ろしいソフトを出してくれたものです(笑)



ただ、AIといっても万能では無いようで。

Re_コメント 2020-02-16 081834

このようにノイズリダクションがうまくいかずに星も星雲もズタズタになってしまうこともあります。確たることは言えないのですが、ある程度恒星が小さい写真のほうが効果が得られやすいような気がします。

それと、背景のノイズもザラザラとした粒状感のあるノイズは得意な一方、ボコボコとしたブロックノイズのようなハッキリしない大きい構造のノイズは苦手な模様です。

パラメータによるノイズリダクションの効き方も試してみようと思います。
まずは「RemoveNoise」を【Low】設定です。
「Enhance Sharpness」はいずれも【High】、「Recover Details」はいずれも【25】です。
Re_コメント 2020-02-16 075012
Low設定なのにすでにザラザラしたノイズの大部分がきれいに消えていますね。


続いて【Med】設定の場合。
Re_コメント 2020-02-16 075028
画面内からザラザラが消えました。
カラーノイズがひどかった暗黒帯はノイズに埋もれていた構造がくっきり描写されています。
コンポジット前と後くらい違いますね。

最後に【High】設定を見てみます。
Re_コメント 2020-02-16 075049
これはちょっとやりすぎのようです。星雲のディテールまで食い始めました。

「ノイズリダクション前」の画像の全体がこちら。暗部の荒れが目立ちますね。
Re_NGC2170_sd_sd-ps.jpg

ノイズリダクション後の画像の全体がこちら。設定は上記の【Med】としました。
Re_NGC2170_sd_sd-ps-denoise.jpg
劇的な改善になったと思います。

Re_uma-BKP130-ps_starless-ps-denoise.jpg
F5の暗さで露出時間たったの45分程度の馬頭星雲も、ものすごく滑らかになりました。

DeNoiseAI万歳。救世主万歳。

思えばフラットエイドのカブリ補正も自動ですし、PixInsightのABEやPCCによる色合わせも自動です。すでに天体写真の画像処理は自動やAIに支配されつつあると言っても過言ではないと思います。
そのうち天体写真の処理で人間の意思が介在する余地は最終的なレベル補正くらいになってしまうのかもしれません(笑)

そうなったとして、天体写真が面白くなくなるかと言えば、それはNoだと思います。こうやっていろいろなツールを駆使して自分の理想に近いものを作り上げていくわけですが、自分の理想というのがハッブル宇宙望遠鏡だったり、すばる望遠鏡だったりで、つまるところ一生かけても理想に到達することはできないからです。物理的に(笑)

色々と御託を並べましたが、DeNoiseAIは画像によっては劇的なクオリティ改善が期待できる素晴らしいソフトだと思います。眉唾ものなんて言ってすみませんでした。

新しいものは積極的に活用していきたいですね。

それでは。
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Comments 2

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Kenny. T

Topazは凄い!

nabeさんこんにちは。
DeNoiseAIというソフトもあるのですね。
私は天体以外にも写真撮影が趣味で、マイクロフォーサーズ(OLYMPUSを使っています)の弱点である暗部ノイズを解消するためにと、DxO社のPhotoLab5とTopaz社のSharpenAIを使っています。
当初、PhotoLab5にはノイズ除去を期待していたのですが、SharpenAIのノイズ除去性能が素晴らしいため、PhotoLab5は主にレタッチ、ノイズ除去と画像の先鋭化にはSharpenAIを使用しています。
古い記事にもコメントしたのですが、最近、星雲撮影を始めて最終仕上げでは上記のソフトを使用しています。
これまで天体は月面撮影ばかりで、天文ガイドのビギナーの部でも採用されたのですが、面白いことにSharpenAIを使用して月面の解像度向上を狙った写真は一度も入選することがありませんでした。
そこで反省して、若干のノイズ除去だけをSharpenAIで実施した月面写真を応募したところ、本当に久しぶりに2022年11月号で入選できました。
これで、やっとビギナーの部を卒業させていただいたので、何とか次のステップを目指しているところです。
nabeさんの記事で勉強させていただき、頑張っていきたいと思っています。
これからも勉強になる記事を期待しています。
FRA400買っちゃおうかなぁ…?

2022/11/17 (Thu) 10:36
nabe

nabe

Re: Topazは凄い!

Kenny. Tさん、こんばんは。いつもコメントありがとうございます。

>本当に久しぶりに2022年11月号で入選できました。

おめでとうございます!
自分は印刷が面倒で最近応募しなくなってしまいましたので、最後まで作品として仕上げる姿勢は素晴らしいと思います。
最近のノイズ処理ソフトの進化は凄まじく、最近はDenoiseAIよりもNoiseXTerminatorを愛用しています。これが素晴らしいソフトなのでぜひお試しあれ。

FRA400も素晴らしい望遠鏡なのですが、最近出てきた80PHQとFRA300は更にシャープらしいので、今買うなら3択で迷ってしまいますね。値上がりして以前のようなコストパフォーマンスも薄れてしまいましたので、お持ちのセンサーと撮りたい対象で選ぶのもいいと思います。

2022/11/23 (Wed) 00:20
画像処理