GS-200RCの接眼部を輸入して交換する
こんにちは。nabeです。
先日記事にしたヤフオクで購入した中古のGS-200RCですが、そのままでは実戦に使えないような状態だったため、色々と手を加えたり調整したりで使えるような状態へしていこうと思います。
コメントではベテランの方やGS-200RCユーザーの方に色々とご意見を頂き大変参考になりました。改めて御礼申し上げます。
ひとまず、星像がおかしいのは「光軸のせい」というアタリをつけて、それを修正することを目的として調整をしていく方針です。
光軸調整をする上で、一番の問題点になるのがこの接眼部です。金属削り出しで一見すると品質がいい高級な接眼部に見えるのですが、実はこいつがかなりの問題児です。
クレイフォード式で、フォーカスハンドルの軸とドローチューブの金属にネジでテンションを掛けて圧着させることで摩擦を発生させてドローチューブを前後させる方式の、ごく一般的なフォーカサーなのですが、スムーズに動く程度のテンションでは数百グラムのカメラすら保持することが出来ず、自重で落下してきてしまいます。
機材を固定できるくらいの強めのテンションでネジを締めると、今度は減速機のついた微動ハンドルの動きが渋くなってしまい、少し回そうとするとバネで押し戻されるような手応えでカクカクとした微動しか出来ません。
おまけに、クレイフォード部を支えるパーツの外装だけなぜか樹脂です。まったく剛性がありません。
鏡筒との接合部はテーパー接続で、銀色のリングで外側から押さえることで固定されています。構造的には悪くないと思うのですが、写野を回転させるたびに微妙にスケアリングが狂うちょっと厄介な仕様です。一度光軸を決めたら動かさないことが前提になりそうです。
色々と不満点を書き連ねましたが、とにかく使い勝手が悪いのです。
外見は良いのに中身は残念。この接眼部はまさに狼の皮をかぶった羊です。
実写で光軸の確認をするためには、ピントが合っていることが絶対の条件です。ピントを満足に合わせられない状態で光軸の評価をするのは極めて困難です。
それに、今後この筒を使い続けていく上で一番手で触れる場所がこんなにストレスフルな仕様ですと気持ちが悪いです。
接眼部を交換することを決意しました。
この鏡筒の接合部はM90ネジになっていて、日本国内で手に入るGS-200RC用のフォーカサーは笠井トレーディングが出している「V-POWERⅡ接眼部」と「STマイクロフォーカス接眼部」くらいなものです。星見屋さんでTS社のフォーカサーを取り扱っていたようですが、今は在庫がないということでこのままだと2択、それにどちらもクレイフォード式です。品質の良いクレイフォードはとてもなめらかで剛性があるということは承知していますが、どうせならラックアンドピニオンの接眼部がないか海外まで捜索の範囲を広げて調べてみました。
ありました。ドイツの「Teleskop-Service」が「TS 2,5" Rack and Pinion Focuser 」という製品を出しています。
耐荷重6kgでラックアンドピニオン、お値段も205EURで見たところ剛性も高そうです。
HPを見たところ日本への発送も可能で、PayPalを使った決済もできます。昔OPTで機材を個人輸入したこともあるので、特に難しいこともなく発注できました。
注文したのが9/29、到着したのが10/3!UPSの空輸でほんの4日で日本へ届きました。普通1ヶ月くらいかかるものだと思っていたのでびっくりです。はるばるドイツから、たった数千円の送料でほとんど地球の反対側の日本へ92時間で荷物が届く、すごい時代です。
同時にM90-50mmの延長筒も購入してお値段は送料込み「248EUR」日本円でおよそ29,000円です。正確には関税で1,600円支払ったのでギリギリ30,000円を超えてますが、驚きの安さです。
日本では見ないタイプの梱包材ですね。
購入したものがこちら。総金属製でズッシリと重く、ラックアンドピニオンの動きも非常になめらかです。なにより、フォーカス固定ネジを締めればドローチューブもハンドルもびくともしない固定力が気持ちいいです。
接眼部の接続方法は3種類。
31.7mmアメリカンサイズのアダプター
50.8mmで2インチサイズのアダプター
アダプターを外すとM63オスねじを直接接続できるようになっており、同じくTS社の出す2.5インチタイプの補正レンズを直接つけることが出来ます。2.5インチ0.8xレデューサーを見かけたので、ちょっと気になっています。
ドローチューブの繰り出しが90mmもあるため、同時に購入した50mmの延長筒を付けてGS-200RCと接続させます。接続もテーパーではなくM90ネジを使って直接固定するので、純正よりも光軸が狂いにくいと思います。
しかし、ここで大誤算が。
繰り出し幅にマージンを取りたくてトラベルが90mmもあるタイプを購入してしまったため、50mmの延長筒を使ってもドローチューブが収まりきりません(笑)
およそ12mm飛び出してしまっています(滝汗)
直焦点では問題ないですが、レデューサーやフラットナーを組み込んだ場合には合焦距離が近すぎてピントが出ない可能性が出てきます。困った、どうしよう。一応同じラインナップでトラベル55mmのフォーカサーもありました。そちらを買っておけばよかったという後悔も後の祭りです。
「せっかく買ったフォーカサーのドローチューブを切る?」
「いやいや、BKPとは違うのだよ……。」
「新しいものを買い直そうか」
などと策を考えていた折天文ハウスTOMITAでこのような製品を発見しました。
RCの副鏡って、動かしても良いのか!
よく考えたらシュミカセやマクカセは主鏡を動かしますもんね。ただ、主鏡も副鏡も単純な放物面ではないRCの場合、両者は適切な距離で固定されていなければならないと思いこんでいました。実際そうなのかもしれませんが、試してみる価値はありそうです。
専門外なので詳しい原理はよくわかりませんが、副鏡を10μ動かすと合焦点は60μ動くようです。フォーカサーの交換で最短合焦距離が50mmほど後ろにずれてしまったため、副鏡を外して調整リングとネジを使い5mmほど主鏡側に移動させました。これで計算上は30mmほど合焦位置が後ろにずれた事になります。なりますよね?
純正誤差20mmならほぼ問題ないと思います。
2019-10-07訂正:80μではなく60μでした。
OEM供給元のGSOのモデルとは違い、笠井トレーディングの製品には延長バッフルが付いていますが、副鏡を動かすことによってケラレが発生する可能性もあるため、延長部は取り外しました。ねじ込んであるだけなので非常に簡単に取れます。筒先が絞ってあって、反射防止加工もしてある非常に高級感のあるバッフルです。
ここは素晴らしいのに、なぜ接眼部をもう少し頑張れなかったのでしょうか……。
真似をされる場合はくれぐれも自己責任で。あと、フォーカサーのトラベルは50mmで十分です。お気をつけて(笑)
皆さんご存知かと思って書きませんでしたが、笠井トレーディングのGS-200RCとTS社のRC8"、TPOやオライオンの同じく8"RCはすべて台湾のGSO社のOEMのため、海外製品を探すときは「GS-200RC」だとヒットしません。逆に「GSO 8" RC」に対応している製品のほぼすべてはGS-200RCでも使用可能です。情報量も圧倒的にそちらのほうが多いです。(英語なのでGoogle翻訳に助けられていますが)
これでやっと満足に光軸調整が出来る環境ができたと思います。チルターは買っていませんが、M90ダイレクト接続の剛性を期待して、問題があれば追加購入したいと思っています。
次回は光軸調整編で。それでは。
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