星撮り日記

Askar 130PHQファーストライト

2022/11/23
天体写真 0
天体写真 130PHQ ASI2600MCPro
こんにちは、nabeです。

はい、タイトルの通りでございます。

Askarのフラッグシップ屈折望遠鏡「130PHQ」を購入しました。

IMG_1936.jpeg

この望遠鏡に至る経緯は色々あるのですが、まず口径120mm前後の屈折望遠鏡が欲しかったこと、写真撮影用なのでF5~6前後で色収差が極小であること、EQ6Rに搭載できること。そして、何よりも斬新さがあることを重視しました。
FRA700出してこないかな~と思ってたのですが、予想外の新シリーズラインナップでした。

お値段は国内価格で税込み約65万円、専用レデューサーが約7万円で合計70万円弱です。ちょっとした中古車が買えてしまう値段、文句なしに自分の所有機材の中で最高値の高級品です。ちなみに、三脚との干渉が問題になるであろうことは事前にわかっていたので、EQ6用のピラーも買っています。経済をフル回転させています。


競合には皆さんおなじみタカハシのフラッグシップモデルのTOA130がありますが、同じような撮影用構成で買ったとすると接眼部がデュアルスピードのNFBモデルで約77万円、TOA35レデューサーで約10万円、鏡筒バンドやアリガタで6万円くらい、合計で約90万円ほどとなります。フラットナーも含めたら100万円コースです。

というか、焦点距離や口径比、口径もすべて揃えてきてるあたり、AskarがTOA130をターゲットにしているのは明らかです。
TOAも接眼部が通常モデルのNSを購入すれば15万円ほど安くできるので、130PHQは「NSよりも少し安いNFB並の装備をつけたジェネリックTOA130」とも言えると思います。


ということで、打倒タカハシなこの130PHQ、まだ世界中を見ても使用者はごくわずかですので、実力は未知数です。
TOAより優れている点としては、3枚玉+1枚でフラットフィールドを実現しており、直焦点撮影でもフラットナーが不要なところです。
あとはハンドル付き鏡筒バンドやハードケースも標準付属品でついていたり、よく使うM48やM54規格で統一されていたり、後発品ならではのアドバンテージをきっちり持っています。
公開されているスポットダイヤグラムも非常に優秀ですが、光学性能ではTOAに少し劣るようです。というか、TOA130がオーパーツのような存在なので、普通の望遠鏡として見たら十分に優秀かと思います。


ともあれ、能書きはいくらでも盛ることができますから、重要なのは実写性能です。

今回はもともと撮影のために購入したので、0.7倍レデューサーも一緒に購入しました。
正直冬のボーナスが出ないとお財布がかなり厳しいです。



ファーストライト


L_2022-11-22_130phq-ps.jpg

馬頭星雲・燃える木
カメラ:ZWO ASI2600MC Pro(-20℃)
望遠鏡:Askar 130PHQ
補正レンズ:Askar 0.7Xレデューサー
架台:Sky-Watcher EQ6-R赤道儀
ガイドカメラ:ZWO ASI174MM miniオフアキ
設定:Gain100 Offset20 180s × 113(5h 39m)
処理:PixInsight・Photoshop



nabeといえば馬頭星雲みたいなところあるじゃないですか。

ゴーストがどのくらい出るのか、周りに明るい星があったときの映り込み具合や描写力、解像感や淡いところの階調表現など、この望遠鏡の実力を試すのにはぴったりな対象です。本当はフルサイズのASI2400とか持っていればもっと余裕を持った構図にできるのでしょうが、もう破産寸前なので許してください。
燃える木と、その北側(左)にある反射星雲も含めて入れたかったのでこんな構図になりました。

正直、期待以上です。スポットを見るに少しは軸上色収差が出るかなと思ったのですが、全くありませんね。反射望遠鏡で撮ったかのようにスッキリと、それでいて透明感のある細やかな描写、これが大口径の屈折の力・・・!

燃える木星雲の奥行き感や、馬頭星雲の周辺の分子雲の僅かに青く反射した領域などはうっとりするくらい美しく写っています。


IMG_1946.jpg

撮影中の姿も様になっています。ちなみにダンボールフードはBKP130用に作ったものがそのままシンデレラフィットでした(笑)BKP130とは同じ口径、口径比もほとんど一緒なのに価格差は20倍ちかくあります。安すぎるBKP130もすごいですし、130PHQがいかに高額な望遠鏡かというのがイメージしやすいかと。



性能評価


さて、ではもう少し詳しく評価してみることにします。

撮って出し画像の四隅の拡大はこんな感じです。センサーサイズはAPS-Cなので、フルサイズだともう少し変わるかもしれませんが、3.76μmの細かいピクセルピッチでもほぼ真円の星像を保っていますので、素晴らしいと言えると思います。
細かいことを言えば、ごくごく僅かにコマ収差のようなものがあります。

L_スクリーンショット 2022-11-23 005459
・130PHQ+0.7Xレデューサー

APS-C四隅はスポットで言うところの13.9mmに相当しますから、概ねスポット通りの星像ではないでしょうか。

130phqspot.jpg
©Sharpstar



フラットに関しては、一番暗い箇所が0.330、一番明るい場所が0.336ですので、周辺光量はAPS-Cで驚異の99.82%という数値を叩き出しました。中心と周辺で光量は0.18%しか変わりません。

130mmのレンズで集められる豊富なフォトンを余すとこなくセンサーに当てることができる喜び・・・!


センサーが汚れているのはさておいて、ゴミをきれいにしておけばフラット要りませんね。縞が乗っているのはASI2600MCProのフラットの癖で、ほんの僅かに色ムラが出るのでその影響です。周辺減光よりセンサーの癖のほうが強く出るという結果に。

スクリーンショット 2022-11-23 005853
・130PHQ+0.7Xレデューサー

すごく汚いフラットに見えるのは、差が僅かすぎてSTFがものすごく強力なストレッチをかけているからです。

スクリーンショット 2022-11-23 011130

素の状態はこれです。パーフェクトフラットです。これはフルサイズでも期待できる。
※モニターによってはモアレが出ますが、ディベイヤーをしていないカラー写真なので仕様です。

IMG_1941.jpeg

スケアリングも見ましたが、箱出しの状態でこれなら変に弄る必要は全く無いですね。




130PHQはTOAキラーになれるか?


実は130PHQはまだポテンシャルを秘めていると感じています。

この日は晴れてこそいたものの、近くに気圧の谷があったり、低気圧が通り過ぎたあとで気流があまり良くありませんでした。ガイドフラフはオフアキを使用していても1.0~1.5”程度の揺れがあり、どうにも抑えることができません。星像も微光星はもうあと一歩締まりがほしい感じです。

気流の状態が良いときはEQ6RにGS-200RCを載せてもオフアキで0.5”~0.7”に収まるので、ガイドの状態は悪かったと言えます。

IMG_1947.jpeg

ASI2600MCの1ピクセルあたりの画角はほぼ1”に相当しますから、空の状態が良ければもっと解像したと思います。こればかりは運なので仕方ないです。隣でFRA400も動かしていたのですが、同様にあまりガイドの状態がよくありませんでした。

本格的な冬の訪れはもうすぐです。と言うのは置いておき、ファーストライトが最良というには少し判断が尚早かと思います。


スクリーンショット 2022-11-23 014103

ゴーストに関しては、残念ながら2600MCとの組み合わせではほんの僅かに認められました。反射星雲の隣の青アザのような場所です。
くっきりと影を落とすような破壊的なゴーストではなかったので、Photoshopの色域指定マスクとトーンカーブできれいに消えてくれました。
スクリーンショット 2022-11-23 014906
アフター

星本体にも薄くハロが出ているような気もしますが、当日は少し薄雲が通過するタイミングもあり、地上の水蒸気も多かったので、望遠鏡起因なのか環境起因なのかは不明です。このくらいなら影響はないといっていいと思います。

アルニタクという、天体写真ファンに最も恐れられているであろう凶悪な宿敵を、画面ほぼど真ん中に入れるという意地悪な使い方をしたのでこの程度で済んでいるのはむしろ良いと言えるかもしれません。

ライバルのTOA130+35レデューサーで同じカメラ、同じ構図を撮ったときに、ゴーストが出るのかどうかは気になりますね。


まとめ


ということで、清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入した130PHQですが、少なくとも自分の環境では十分な活躍をしてくれそうでホッとしています。TOA130はもちろん高いですが、国内生産でQCもしっかりしているという信頼と安心があります。Sharpstar自体は結構昔からあるメーカーですが新進気鋭のAskarブランドはまだその信頼と安心という点では弱いと思います。あと、リセールバリューなんかを考えたとき、資産としてはTOA130のほうがいいですね。

でも、恐れ多くもタカハシと真っ向勝負に出たAskarの気概は応援したいと思いますし、何より誰も使っていないような望遠鏡を使うのはそれだけでプライスレスな体験ができると思います。後悔はないってやつですね。

そういえばレデューサーに「151PHQ」という文字がありましたが、見なかったことにしておきます。

FacebookのSharpstarの投稿で「65PHQ」という望遠鏡も予告されていました。
ちょっとSharpstarさん元気良すぎじゃない??そんなに作って大丈夫??

少し恐れているのは、1年かそこらで「130PHQよりもコスパよく、イメージサークルは控えめだけど重量が軽くて、性能は同等かそれ以上」というラインナップが出てきてしまうことです(笑)

IMG_1950.jpeg

ちなみに、フラットを撮るために天頂に向けたときは、フードとピラーも相まって地上高が2mを超えます。自分も身長は高いほうですが、それでもフラットパネルを乗せるのに少し苦労する高さで思わず笑ってしまいました。

海外のレビュアーも書いていましたが、まさしくビーストですね。


それでは。
関連記事
スポンサーサイト



Comments 0

There are no comments yet.
天体写真