星撮り日記

300mmF2!HyperStar6!ぶっちゃけどう?

2022/09/28
機材 8
天体写真
こんにちは、nabeです。

ひょんなことから少し前にジャンクのC6を格安で入手しました。副鏡になにかダメージがあったのか、光軸はズレたまま戻らず、補正版も曇っているような問題児です。

せっかくなので前々から試してみたかったHyperStarを入れてみることにしました。

これはF2という明るさとロマンに取り憑かれた男の記録です。


HyperStar6輸入、取り付け

C6は6インチ(152mm)のF10なので約1500mmのシュミットカセグレン式望遠鏡です。小型の赤道儀にも載る軽さと焦点距離の長さから、手軽な惑星観望用として人気でしたが、ここ最近は色々な影響で価格が高騰し、実売価格は132,000円という高級品です。

今回は先程も書いた通り訳ありジャンク品を使用しているので問題ありません。
というか、本体が安くなかったらこんな改造してません。


そんなC6の補正版の代わりに、レンズを入れて、F2という明るさにしてしまおうというぶっ飛んだ商品がこのHyperStar6です。

https://starizona.com/products/hyperstar-6

日本のブログを検索してみてもHyperStar6を使ってる人の情報はほとんどありませんね。

国内でHyperStar6を扱っている代理店はないので、StarizonaにGoogle翻訳英会話で問い合わせ、在庫を確認して送ってもらいました。このときはまだドル円が135円くらいでしたが、輸送費やオプション諸々と合わせると695ドルで、輸入消費税を払ってほぼ10万円でした。今のレートだと更に7~8000円高くなります。うーん円安つらい。

IMG_1524.jpeg

HyperStar6の取り付けは拍子抜けするくらい簡単です。副鏡をねじって取り外して、副鏡がついていたリングにHyperStar6を取り付けるだけです。


で、早速問題があるわけですが、というかもちろん分かりきっていたことなのですが、蓋が閉まらないんですよね。常にシュミット補正版むき出しの状態になります。当然カメラを取り付けた状態ではどうしようもありません。

でもこれもF2の明るさのためです。

ちなみにカメラは1型スクエアセンサーのASI533MC Proを使用します。
2600MCと294MMの間に挟まれて最近少し活躍の機会が減っていました。
これもいちいち取り付けるのが面倒なのでつけっぱなし運用をしたいと思います。



ゴミ箱フード作成


それで、カメラを取り付けたままHyperStar6も取り付けたまま、保管と運搬ができるように、シュラウド兼結露防止フードを作成しました。Amazonで売っていたゴミ箱をそのまま利用。

IMG_1697.jpeg

ちょうど良いサイズのゴミ箱を買って、底をくりぬいて削って中に植毛紙と形状維持のためのバッフルを仕込みました。
本体との着脱は面ファスナーを使用していて、本体側は結束バンドでガチガチに固めてあります。
頑張って削ったのでフード自体のフィッティングもよく、簡単にずれることはありません。

余談ですが、シンデレラフィットのゴミ箱に巡り合うまでに2つくらい余計に買ってしまって、今部屋に使ってないゴミ箱が2つ転がっています。どうしよう。

IMG_1696.jpeg

ケーブルの取り回しは迷ったのですが、十字の回折が入るようにケーブルよけも兼ねてスパイダー状にしています。
おわかりの通り、C6のコンパクトさというメリットは完全に失われ、15cmニュートンのような迫力があります。
これもF2の明るさのためです。
転がりだしてしまった車輪を止めることはもう出来ません。

ちなみに蓋はどうしているのかというと、写真を取り忘れてしまったのですが、ナイロン素材のニット帽をかぶせています。
我ながらナイスアイデアだと思います。



EAF取り付け


もう最近はEAFがないと天体撮影やってられません。
もちろんC6用もあるんだろうと思っていましたが、実はC6だけフォーカスノブの直径が太くて、C8用やC9.25用がそのまま使えません。
海外のフォーラムを見たら「C8用の穴を広げたら入る」と書いてあったので、それを信じてC8用を買ってみました。



これも写真撮ってなかったのですが、リューターに紙やすりを粘着テープで貼り付け、遠心力で紙が開くのを利用して根気よく削ります。だいたい20分くらい現物合わせをしながら削りました。幸いアルミ素材なので簡単に削れて、無事にC6に取り付けができました。

カップリングだけの問題で、ブラケット自体は共通で助かりました。

HyperStar6でなくても、素のC6にEAFを取り付けようと思っている方は、リューターと紙やすりと両面テープを用意しておきましょう。




ファーストライト


色々手をかけてようやく撮影できる体制が整ったわけですが、やはり夏場は晴れません。待ち続けて結局3ヶ月もかかってしまいました。

H_2022-09-03_same-ps.jpg
ASI533MC Pro gain100 offset20 180s*60


正直な感想、F2というスペック上の驚異的な明るさはあまり感じません(笑)
理由としてはやはりプライムフォーカスの欠点でもある巨大な中央遮蔽が多くを占めると思います。
口径150mmに対して直径78mmとほぼ半分が隠されてしまっています。面積比でいうと約1/3をロスしています。
体感上の写りで最も近いなと思ったのはACL200です。
なんということでしょう(笑)

それに加えてこれです。


画面が全体的にグラデーションに被ってしまって、フラットが合わない問題に直面します。

良いことも一応ありまして、F2のくせに光軸調整がほとんど不要なんですよね。
もともと副鏡しか調整ポイントのないC6で、補正版と球面の主鏡は位置が固定されているのが良いんだと思います。
何回か取り外していますが、周辺まできれいに像を結んでくれています。




かぶり対策


さきほどのフラットが合わない問題、赤っぽいグラデーションでピンと来たわけですが、原因はきっとこれです。
IMG_1696.jpeg

そう、赤缶とも名高い赤いメタリックカラーのカメラ。
これが被ってるんじゃないか?

IMG_1713.jpeg
ということで植毛紙をカットして張り込みます。

IMG_1715.jpeg

良い黒さになりました。
一応基盤内部のLEDにも植毛紙を貼って潰してあります。


うん、いい感じになりました。



ようやく作品として仕上がる



紆余曲折ありましたが、ようやく納得できるようなものが撮影できました。
H_2022-09-28_M45-ps.jpg
ASI533MC Pro gain100 offset20 180s*50

やはりF2の鏡筒といえば撮るものは分子雲と相場が決まっています。

夏前に仕込んだこのネタも、気づいたら秋になってしまっていました。

なかなか楽しみ甲斐はあったと思います。



ぶっちゃけどうなの?



HyperStar6を一言で表すなら「ロマン」です。

プライムフォーカスF2という特別感、人と違う機材という高揚感、まだ誰も突き進んだことのない道を切り開いていく体験、トライアンドエラーの試行錯誤によるクリエイティビティ。こういったものが好きな人には刺さると思います。



実際の性能はというと、先にも書いた通りF4の屈折望遠鏡とたいして写りに差がない感じです。
星像も抜群にシャープかというとそうでもないです。比較対象としてはFRA400に一歩及ばずという感じで、みなさんが思うほどシャープでキリッとした像ではないです。

それと極めつけにコスパは最悪です。
鏡筒本体が新品で132,000円、HyperStar6が輸入で約100,000円、フードやらの改造費で1万円くらい使ったと思います。
そう、まともな思考の人ならε130D(272,800円)か13028HNT(286,000円)を買います。

あと鏡像なのが少し気になりますね。もちろん最後に反転させるのですが、現場で構図を合わせた時はいい感じだと思っても、処理して反転してみると印象がガラッと変わってしまって、こんなはずでは・・・となります。





色々書きましたが、決して満足していないということではないです。
個人的には十分に楽しめて、しっかり活躍してくれたので値段分の働きは十分にしてくれたと思っています。

ただ、万人におすすめできるかと言われたら絶対にNO。

新品でこの組み合わせを買おうとしている人がいたら、全力でε130Dみたいな明るくて実績のある堅実なニュートンを勧めます。

倉庫で使わないC6が眠っていて、普通の望遠鏡では味わえないような刺激的でクリエイティブな天体撮影を楽しみたいと思った方は検討してみても良いのではないでしょうか。


こうやって感想を残しておくことで、この記事がなにかの役に立てば幸いです。


それでは。
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Comments 8

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snct-astro

素晴らしいレポートですね.うんうん(涙)..ってうなずきながら楽しく読みました.積極的に新しい機材に挑戦していく様子がさすがです.

私はRASAで赤缶からのカブリは経験ないのですが,口径との比でカブリ具合が変わるのかもしれません.

プライムフォーカスの扱いにくさは確かで,ユーザーはどれくらい伸びているのでしょうね?特にHyperStarは所有はしているけれど使えていないという話はよく聞いて,カメラを取り外せば蓋ができるRASAよりもさらに扱いにくそうです.

将来,C8を手に入れ「600mmF2」に期待しています

2022/09/28 (Wed) 09:14

neutrality

初めまして。私もC6を持っていて、hyperstar6 v4が発売になったと聞いたときにやってみるかな?と少し考えましたが、すでに円安が始まっていたので躊躇して今に至っています。運用は大変そうですが、速射には打ってつけですね!今後もすばらしい作品を量産してください♪

2022/09/28 (Wed) 15:55
nabe

nabe

Re: タイトルなし

snct-astroさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

蓋が閉まらないというのは予想の範囲内でしたが、鏡像になるというデメリットは撮ってみて初めてわかりました。使ってみないとわからないというやつですね。

試行回数はまだ2回めなので、果たして赤缶表面の反射が真犯人だったかは不明です。今回はたまたま合っただけという説もあります。ただ、光路中にピカピカ光るものを置くのは絶対に良くないと思うので、気分的な問題も大きいです。

RASA11、欲しくなってきました。が、今の市場価格だと到底手が出ませんね(笑)

2022/09/30 (Fri) 00:40
nabe

nabe

Re: タイトルなし

neutrality さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

ブログ拝見しましたが、8/28は私も浄土平に行ってました。湿原側のあの車列のどこかでご一緒してましたね。
車の中で寝ていたら昼間の駐車場は超満員で、逃げるように帰ってきました(笑)

さて、HyperStar6ですがご覧のとおりです。自信を持って買いましょうとは勧められませんが、なかなかおもしろい体験をさせてくれる拡張キットです。もし死蔵しているC6があるなら試してみてもいいかも・・・?

これで北天あたりの分子雲をたくさん撮りたいなーと思います。

2022/09/30 (Fri) 00:46

せろお

EDGE800にSTARIZONA HyperStarを付けようかと情報収集をしております。
やはりいろいろと障害がありますね。
まずは円安ですが・・・
それでもRASA8買うよりは安く、場所も取らないのですが、買っても使うかは自分でも疑問。
ε-180EDもあるし。
カメラ・望遠鏡関係はオプションを全部揃えたくなる合体ロボマニアの性・・・

2022/11/09 (Wed) 15:51
nabe

nabe

Re: タイトルなし

せろおさん、こんばんは。コメントありがとうございました。

HyperStarシリーズは高すぎますね(笑)円安も相まって、もう普通に20cmの反射望遠鏡もう一本買えてしまうくらいです。
イプシロンがあるなら正直出番は少ないかなーと思います。人によるかと思いますが。
変なものを使うのが好きであれば、乗りこなす感覚は面白いと思います。
ドラッグレーサーみたいなものですね(乗ったことありませんが)

2022/11/23 (Wed) 00:11

きよりん

カップリング穴の加工について。

こんにちは。安かった頃に買えた C6 を所有しています。
カップリングの穴を広げる作業ですが、「ストレートリーマー」という工具を使うと楽に正確に広げられます。経も 0.005mm 単位でそろっているものも有ります。目的の経の近似値までドリルで広げてリーマーで仕上げます。カップリングの場合、「食いつき角」という先端のテーパーが少ない物を選んだ方が良いですね。
タカハシの MT-130 にタカハシ用中華マイクロフォーカサーを付けようとしたときにフォーカサーシャフト径が現在のタカハシの 8mm よりもわずかに太い 8.1mm だったためにこの工具を使ってカップリングを加工しました。
工具の一例
https://www.monotaro.com/g/00510845/?.q=%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%BC

2023/01/12 (Thu) 17:47
nabe

nabe

Re: カップリング穴の加工について。

きよりん さん、コメントありがとうございました。

有用な情報ありがとうございます。
手持ちにあるものでなんとか対応させようとしてリューターにやすりを巻き付けましたが、今後こういう加工が想定されるときには用意しておこうと思います。
ちょっとしたDIYができると天文趣味の幅は何倍にも増えますね!

2023/02/13 (Mon) 22:57
機材