星撮り日記

スティックPCでEQ5を完全リモート制御

2020/03/30
機材 6
天体写真 EQ5GOTO スティックPC
こんにちは。nabeです。

EQ6Rを購入したことにより、メインの撮影用PCはEQ6R用になり、今までメイン赤道儀だったEQ5GOTO赤道儀は一線を退き入門用赤道儀としての役目を終え、後輩に譲り渡さ・・・・

れませんでした(笑)

自分のところに来てしまったが運の尽き、新たなる試みの実験台として第二の人生(赤道儀生?)をおくることになります。この赤道儀には色々手をかけ時間をかけ、どこへ出しても恥ずかしくない優等生に仕上げてきたのです。一線を退かせるにはあまりに惜しい

そこで用意したのがこの2つ。今回の構想の要になります。

Re_IMG_2703.jpg
机が汚くて申し訳ありません。USB電源で動くスティック型の超小型PCと、同じくUSB電源で動くモバイルルーターです。前々からリモート制御には興味がありましたが、ASIAIRやステラショット2のような今主流となっている方法ではなく、どうせブログのネタにするなら皆がやっていない方法が面白そうだと思った次第です。

まあ、この手法自体はかなり前からあるもので、色々と試されているいわば「旧来の手法」です。

なぜ今回のような構想に至ったかはこの図を御覧ください。
ETKDgYpUEAAqDrn.jpg


まず、EQ6を制御するためのノートPCはこれまで通り現場に持ち出すので、ASIAIRのようにわざわざスマホでしか操作できないガジェットを追加する意味があまりありません

ステラショット2は現在PC接続の根幹になっているASCOMとは少し違う接続が混じってくるため、ややこしいことになる予感がします。それに導入コストはなかなかの高額なので、おいそれと手が出せるものじゃありません。

ちなみにこのブログで頻繁に出てくるASCOMというソフト、厳密にはソフトではなく、プラットフォームと呼ばれ、様々な機器間でのデータのやり取りを行うための橋渡し役、中枢とも呼べる規格です。ドライバと言ったほうが良いかもしれません。ASCOMに対応している機器はすべてASCOMを介して制御することが出来ます。

たとえば望遠鏡の現在向いている位置をPHD2に送ることで、ガイド信号を最適化出来ますし、子午線反転させたこともASCOMではすべての機器で共有されるため、反転後のガイドの再キャリブレーションがいりません。微動信号を送ることでST4ケーブルがなくてもオートガイドが出来たり、ディザリングが出来たりします。

コメント 2020-03-30 000223
ということで、この環境を捨て去るのは難しく、PCで制御するという点はマストです。(厳密には、INDIという規格を使えばラズベリーパイでも同じようなことが出来るのですが)

2台の赤道儀を制御するために2台のPCを用意するのもコストと手間が増えるので、1台のノートPC2台の赤道儀と2台のカメラと2台のオートガイダーを制御するのが今回の狙いです。

セットアップの手間はかかりますが、WindowsとWindowsならリモートデスクトップも出来ますし、今まで通りのソフトとドライバを使って同じようにEQ5を制御することが出来ます。

なんと言っても、ヤフオクでスティックPCを送料込み6000円で入手することが出来たのが大きいです。モバイルルーターも約1500円でした。これでEQ5GOTOがリモート制御できたら万々歳です。ちなみにモバイルルーターは2.4Ghz帯のものなので、電波法的にも安心(のはず)です。

スティックPC(DG-STK1b)のスペックはお世辞にもいいとは言えません。

CPU:Atom Z3735F(1.33GHz/4Core)
RAM:2GB
eMMC:32GB
OS:WIndow10 Home 32bit

最低限Windows10が動くギリギリのラインのスペックです。果たしてこのスティックPCでオートガイドや自動導入が出来るのか……!

でもまあ、6,000円だったことを考えればOS単体よりも安上がりです。普通に動かしてみた感じ、動作に多少のもたつきは感じるものの、致命的なほどの遅さはありませんでした。

Re_IMG_2705.jpg

早速モバイルルーターに双方をつないでTeamViewerで接続を行ってみました。あっさり成功です。

通常インターネット接続されていなければ使えないTeamViewerですが、モバイルルーターはもちろんネット接続はせず、撮影地でノートPCとスティックPCのローカルエリアネットワークを構築するためのハブにすぎません。

コメント 2020-03-29 232237
いろいろ試した結果、設定の「受信LAN設定」「同意」

コメント 2020-03-29 232253
ランダムパスワードを「無効化されたランダムパスワード(ランダムパスワードなし)」に設定することでモバイルルーターのLAN内でリモートデスクトップが可能になりました。Windows起動時に自動的にTeamViewerを起動する設定にし、個人的なパスワードに覚えやすい数字を割り当てておけば現場で画面を見ながら接続する必要がなくなります。

Re_IMG_2706.jpg
DG-STK1bはファンレスのため、かなり熱くなります。冬場の屋外では問題にならないとは思いますが、念の為そのへんに転がっていたM.2SSD用のヒートシンクを巻きつけておきます。

あ、この画像には写っていませんが忘れちゃいけないのがHDMIダミープラグです。通常モニターに接続して使うことを想定されているため、モニター接続なしでリモートデスクトップに入ると解像度が最小になってしまって非常に使いづらいです。そのため、ダミープラグで「モニターが繋がっている」という嘘の信号をスティックPCに流す必要があります。

コメント 2020-03-29 233534コメント 2020-03-29 233545
今回はこういうものを使用しました。HDMIのメスメス変換がないとつかないので注意。

Re_IMG_2792-moji.jpg
さて、部品は揃ったので、手持ちの部材と配線やらケースやらを組み合わせて三脚にマウントできるようにしてみました。ごちゃごちゃですが、この区画にほぼ全てが集約されています。

白っぽい電源BOXからはシガープラグが出ていて、赤道儀からぶら下がるケーブルはこれ1本で済むようになっています。内部で5VUSB用の電源と12V赤道儀用の電源に分配されます。消費電力にはまだ余裕があるので、将来的にはカメラ用の降圧コンバーターを入れてカメラの電源もここから取れるようにしたいと考えています。

電源BOXにモバイルルーターとスティックPCが面ファスナーで貼り付けてあります。電源BOX自体の三脚への取り付けも面ファスナーです。面ファスナーは温度変化や湿度で劣化しにくく、取り外しも容易であのISSでも使われている最強の接着方式です。自分の場合リモートレリーズやモバイルバッテリーなど、ありとあらゆるものに面ファスナーを貼り付けています。

Re_IMG_2793.jpg

スティックPCには小さなUSBハブを挿して、そこにEQDirectケーブル、オートガイダーのUSBケーブル、カメラケーブルを接続します。ASCOMパルスガイドなのでオートガイドケーブルは必要ありません。あと、手動操作用のゲームパッドを別口で接続しています。これは後々無線化したい。

気になる操作感ですが、リモートデスクトップを接続してしまえば今までの制御と何ら変わりはありません。PHD2とSkyChartを起動させて、EQ5GOTOをASCOM経由で接続します。

スクリーンショット (23)
オートガイド、走りました。あまりに簡単に事が進んだので拍子抜けです。
心配していたスペックも、星図から自動導入とオートガイド程度では全く問題ないようです。画面の映像を転送しているだけなので、表示優先にしておけばメインのノートパソコンのリソースも食いませんし、どちらかの接続が切れても撮影に支障は出ません。

制御は1台のノートPCですが、それぞれがスタンドアロンで動作するので、安心感はあります。

しかし、ここで問題発生。AstroPhotographyTool3.82では「Connect Scope」を押下するとソフトがフリーズしてしまう不具合にぶち当たってしまいました。これではディザリングができません。

仕方ないので、ステラショットをインストールして動かしてみることに。
スクリーンショット (20)
ただ、こちらも「導入補正」を行うとメモリ不足で落ちてしまいます。導入まではうまくいくのに、惜しい・・・!

このあたりがRAM2GBの非力なスティックPCの限界なのか・・・!

そのときふと、APTの過去バージョンを入れてみたらどうだろうと思い立って、AstroPhotographyTool3.71を入れてみました。
コメント 2020-03-29 133003
つながるー!

今度はAstroPhotographyTool版導入補正の「GoTo++」を実行してみます。もちろんPHD2、SkyChartは起動させた状態です。
スクリーンショット (42)
無事に自動旋回→自動撮影→プレートソルビングが走りました。マッチング速度はRyzen5 2500U搭載の撮影用ノートPCと比べたら亀みたいな速度ですが、焦点距離650mmのBKP130までの運用の予定なので、視野が広くそれほどマッチングに時間はかからないと思います。

メモリもギリギリではありますが、落ちてしまうことはありませんでした。APTに接続できたことによって、GoTo++による自動天体導入補正、PHD2と連動したディザリング撮影が出来るようになります。フルリモートでこれらの機能が問題なく動けば、無事に野望は達成されます。

動作中のリモートデスクトップの重さですが、さすがに重さを感じる瞬間はあるものの、想定していたよりはキビキビと動いてくれる印象です。遅延も殆ど感じませんでした。

残念ながら天候が悪くてこれ以上のテストは出来ていません。今度の遠征で実際にテストしてみて、無事に動くことを祈ります・・・!

コメント 2020-03-30 004026
赤道儀が2台あると、撮れ高は2倍です。3時間は6時間になります(笑)ちなみにポタ赤もあります(笑)

実はPHD2とSkyChartのみでの制御のテストはすでに行っていて、この2つのソフトによる制御だけであれば安定して一晩完走できました。ちなみに、車への積載を考えてEQ5の三脚をサイトロンのカーボン三脚に変更してあります。これもなかなか安定性が高くてお気に入りです。純正の半分のスペースに収まるので、ポタ赤用にもう一台ほしいくらいです。

少ない週末の遠征チャンスを最大限に生かしてたくさん天体写真を撮影するために。APTの自動導入とディザリング、果たして上手くいくのか。乞うご期待!

それでは。

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Comments 6

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ハチベエ

す、すげぇ...Σ(・ω・ノ)ノ!

おはようございます。

ご無沙汰しております。
遅くなりましたが、新赤道儀の導入おめでとうございます( ´∀`ノノ☆パチパチパチパチ
僕もR200の導入に伴い、こやつをがっちり安定して運用できる赤道儀を…と思いましたが、我が家の財務大臣に伺いをたてることもなく頓挫しました(-_-;)
それはともかく。。。

いつも色々と新しいことにチャレンジしてすごいなぁと感心しながらブログ拝見させていただいております。
今回の試み?も僕には到底考えつかないことなので、ほぇーって馬鹿面をPCに向けておりました(@_@;)(笑)
見た限り複雑そうで僕ではやったところで、ミスしまくりで現実的に運用は無理だなぁとnabeさんの器用さを羨ましく思います( *゚д゚)*。_。))ウンウン
しかし、赤道儀が増えると撮影可能対象も増えるので色々撮れて嬉しいですよね(^^♪
中には3つ4つ並べる方もいるみたいですが...(笑)
次回の本撮影の方の成果も楽しみにしてます+ (o゚・∀・) + ワクワクテカテカ +

2020/03/30 (Mon) 10:08
nabe

nabe

Re: す、すげぇ...Σ(・ω・ノ)ノ!

ハチベエさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

やっぱり足元が頑丈だと安心感が違いますね!2台のPCを行ったり来たりして操作するのが面倒だと思ったので、スティックPCにしてみましたが、思っていたよりも上手く行って自分でもびっくりです。下手の横好きというやつで、肝心の天体写真の方は全然上達しません(笑)

さすがに3台4台は車に乗らないのでポタ赤で我慢です(笑)

2020/03/31 (Tue) 20:28

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管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2020/11/19 (Thu) 22:24
nabe

nabe

Re: PC1台で赤道儀2台動かす

ナイショさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

PHD2を2つ起動させようとするとハングアップしてしまうんですよね。他にも、USBバスパワーの確保や内部ドライバの混線など、対処する必要がある問題が多いです。うまいことやれば動かせないことはないと思いますが、2台に分けてしまったほうが現実的だなと思い至ったわけです。

1台のPCで複数の赤道儀を簡単に制御できたらものすごくシンプルなシステムが出来ると思うので、ぜひ挑戦されてみてください・・・!

2020/11/20 (Fri) 21:58

Kenny. T

色々勉強させていただいています

nabeさん
古い記事にコメントを入れてすみません。
以前からGS-200RCに興味を持っていて、光軸調整の顛末はしっかり読ませていただきました。
現在、鏡筒はAL107-PH(SHARPSTER)とMAK127を保有し、赤道儀はSXD2とステッピングモータを追加した改造APマウントを保有しています。
最近、ASIAIR PlusとASI294MC Pro他を入手したので、カメラレンズ(200mm、300mmなど)をAP改造機に載せて、ASIのAppで星雲撮影を始めました。
まだ始めたばかりで撮影と画像処理の修行中ですが、スティックPCとモバイルルータを加えた統合制御にも興味を持っています。
nabeさんはASIAIR Plusによる統合環境と、スティックPCの統合環境についてはどちらが良いと思われていますか?
ご意見をお聞かせいただければ幸いです。
ちなみに、カメラレンズ(CanonとオールドOMです)では画像のシャープさと、フリンジが気になっているためAskarのFRA400への移行も検討中です。
そういう流れなので、nabeさんのブログはとても参考になっています。

2022/11/17 (Thu) 10:18
nabe

nabe

Re: 色々勉強させていただいています

Kenny. Tさん、こんばんは。コメントありがとうございました。

>nabeさんはASIAIR Plusによる統合環境と、スティックPCの統合環境についてはどちらが良いと思われていますか?
ご意見をお聞かせいただければ幸いです。

・難しい問題ですね。自分はできるだけ好きな機材を組み合わせて細かくセッティングを煮詰めて撮影するのが好きなので、自由度の観点からはスティックPCです。
ただし、ASIAIRのほうが撮影までにかかる時間は短いのと、撮影中も楽というのは知り合いが使っているのを横で見ていて痛感しています。
最近は処理速度もストレージも強化したCorei5を搭載したコンパクトPCを有線LANでリモートデスクトップしていますが、極めて安定していて手元のPCで2台の制御も簡単にできています。
ですが、万人におすすめするとしたらやはりASIAIRなのでしょうね・・・。
要は、好みということでいいと思います。

2022/11/23 (Wed) 00:15
機材